副業人材で採用難を突破―CxOを週1活用しながら、優秀人材を着実に採用する方法―

副業人材で採用難を突破

「CFOが採れない」「DX責任者がいない」という現実

「CFOが採れない」「DX責任者がいない」「採用広報も紹介会社活用もやっているのに、任せたいと思えるCxOクラスになかなか出会えない」。
ここ数年、多くの企業の人事や経営者が、こうした“詰み”に近い感覚を抱えています。

とはいえ、「CxO=フルタイム常勤で採らなければいけない」と決めつける必要はありません。
実は、市場には「フルタイムでの転職はしないが、週1-2回なら経営にコミットしたい」元CxO・エグゼクティブ人材が少なくなく、非常勤・副業というかたちで経営に参画しているケースが増えています。

本コラムでは、こうした非常勤の「副業CxO/週1CxO」を活用する際のメリット・デメリットと、実際に採用・活用するときのポイントを整理していきます。
「採用難の時代に、どのように経営クラス人材を確保していくか」を考えるヒントとして、ご覧いただければ幸いです。

副業CxO活用の3つのメリット

1. コスト:フルタイムの1/3〜1/4で経営クラスを確保

フルタイムCFOやDX責任者クラスを正社員で採用する場合、年収1,200万〜2,000万円前後が一つの目安になります。
ここに社会保険・賞与・採用コストを加えると、「1人雇う」意思決定のハードルは相当高くなります。

副業CxOであれば、たとえば次のようなイメージです。

  • 日単価:7万〜10万円程度
  • 週1日稼働(4〜5日/月):月30万〜50万円前後

「年360万〜600万円でCxOクラスの視点を経営に入れられる」と考えると、現実的な投資レンジと言えます。
特に、資金調達・管理会計・DX基盤の整備など、「ある程度仕組みができればフルタイム常駐は不要」というテーマとの相性が良好です。

2. スピード:採用ではなく「アサイン」なので早い

正社員採用は、求人設計〜選考〜オファー〜入社まで半年〜1年かかることも珍しくありません。
その間、肝心の経営課題の解決は先送りにされ続けてしまいます。

副業CxOは、業務委託として「アサイン」する発想なので、条件が合えば数週間〜1〜2カ月で稼働開始することができます。

  • 経営課題の棚卸し
  • 必要スキルと稼働ボリュームの整理(週1・3〜6カ月など)
  • 候補者との面談
  • 週1ミーティングからの伴走スタート

という流れをコンパクトに回せるため、「今期中に一気にやり切りたいテーマ」に対して、スピード感のある打ち手になります。

3. 社内への比較効果:組織の「基準値」が引き上がる

外部のハイレイヤー人材が入ると、アウトプットそのものに加えて、社内メンバーへのポジティブな比較効果が生まれます。

  • 経営陣は、自社の意思決定や管理レベルを客観視しやすくなる
  • 管理職や若手は、「このレベルの思考とアウトプットが経営層の標準」という具体的イメージを持てる

プロジェクトが終わっても、ドキュメント・仕組み・考え方が組織に残るため、その場限りではない価値が蓄積されます。
これは、後述する「正社員の採用・育成」にもつながっていきます。

月30〜50万円/週1の設計と、成果連動の考え方

報酬・稼働の目安

副業CxOとしてCFOやDX責任者クラスに週1〜1.5日入ってもらう場合、よくある設計は次の通りです。

  • 週1日(4〜5日/月)× 日単価8万円 = 月32万〜40万円
  • 週1.5日(6〜7日/月)× 日単価8万円 = 月48万〜56万円

まずは「月30〜50万円・3〜6カ月」の期間で、

  • 現状の見立て
  • 課題の可視化
  • 優先順位の整理
  • 必要な仕組みの叩き台づくり

といった土台づくりにコミットしてもらう形が、リスクとリターンのバランスが良いスタートになります。

契約と成果連動のポイント

契約形態としては、

  • 業務委託契約:週1のCFO業務やDX推進など、比較的広い範囲の業務を継続的に伴走してもらうための契約。
  • 顧問契約(定例ミーティング+随時相談):定例ミーティングとチャット等での相談を通じて、経営全般の助言をもらうための契約。
  • プロジェクト契約(資金調達、管理会計再構築などテーマ限定):資金調達や管理会計再構築など、テーマと期限を区切った特定プロジェクトをやり切ってもらうための契約。

が一般的です。

さらに、月額固定フィーに成果連動を組み合わせると、双方にとって納得感のある設計にしやすくなります。

例:

  • 資金調達支援
    → 月額固定報酬+調達成功時に調達額の◯%をインセンティブとして支給

  • 売上・マーケ改善
    → 基本フィー+目標達成に応じたボーナス

  • スタートアップの場合
    → キャッシュ+ストックオプション(SO)で中長期リターンを設計

ポイントは、副業CxOがコントロール可能な範囲に紐づけること、成果指標と計測方法を事前にすり合わせておくことです。

副業はゴールではなく“ブリッジ”――採用とセットで考える

副業CxOは非常に強力な打ち手ですが、「ずっと副業のままで良い」という話ではありません。
むしろ、

  • 副業CxOで経営の型と仕組みを先につくる
  • その型をベースに、「正社員として入るべき人材像」をクリアにする
  • タイミングを見て、正社員のハイレイヤー人材を口説きにいく

という本当に求める優秀人材が採用できるまでの“ブリッジ”として位置づけることで、正社員採用の成功率が高まります。

副業CxOが「採用の質」を上げる理由

1. 求める人物像が具体化される

副業CxOと業務を進める中で、この会社に本当に必要なスキル・経験・スタンスが見えてきます。
結果として、「なんとなくCFOが欲しい」状態から、「この条件なら年収◯◯◯万で迎えたい」というレベルまで落とし込めます。

2. 現場の受け皿ができる

何もない状態でハイレイヤーを採ると、本人も組織も消耗しがちです。
先にCxO着任後の組織イメージの型をつくっておくことで、「その型をさらに伸ばせる人」「その基盤の上で走れる人」を採ればよくなり、オンボーディングがスムーズになります。

3. 企業の本気度が伝わる

候補者に対し、「ここまで外部の力も借りて整えてきた。次はフルタイムの責任者として、この先を一緒につくってほしい」と語れます。
単なる求人票よりも、プロジェクトの具体性と熱量が伝わるため、口説きやすくなります。

副業で“今”を動かし、採用で“未来”をつくる

副業CxO/週1CxOは、採用難の時代における有効な選択肢です。
月30〜50万円という現実的な投資で、経営の解像度を上げ、仕組みを整え、社内の基準値を引き上げることができます。

ただし、それはゴールではなく、「本当に必要な人を口説きにいくための準備段階」です。
副業で今期の経営課題を動かし、そのプロセスを通じて採るべき人材像を明確にし、タイミングを見て正社員のハイレイヤーを獲得する。

「副業で間に合わせる」のではなく、「副業で土台をつくり、採用で未来をつくる」。
そんな発想で、副業人材と正社員採用の両方をうまく組み合わせていくことが、企業にとっての現実的な人材戦略になるのではないでしょうか。

Profile
Director
竹田 雅美

化粧品会社でPR、商品企画を経験し2007年にSFJに入社。入社後は、流通小売業界や製造業を中心に、マスコミ、ITといった多様な業界でスカウト実績を保有。2021年、SFJ NEXTに立ち上げメンバーとして参画。現在はIT/DX案件を中心に担当。安易なキャリアチェンジを持ちかける紹介会社のスタイルに疑問を感じマーケティングリサーチに基づいた「三方好し」のコンサルティングを心がけている。
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