IT/DX人材ニーズ~ユーザー企業編~第2位:サイバーセキュリティ部門-管理職ポジション

2025年4月3日IT/DX人材の採用ニーズ

IT/DX人材ニーズ2024~ユーザー企業編~第2位はサイバーセキュリティ部門-管理職ポジションでした。

近年、企業におけるネットワークやシステムといったデジタル資産の価値が向上し、高度なサイバー攻撃が日常化したことから、サイバーセキュリティの専任組織を立ち上げる事例が増えました。

企業のセキュリティ対策は、もともと情報システム部門やリスク管理部門が主管していた範囲ですが、より専門性の高い組織が求められる環境に変化しています。

それでは、サイバーセキュリティ部門の役割や求められる人物像、報酬レンジなど、もう少し詳細を見てみましょう。

採用背景

採用積極化に至った最大の背景は経営層の意識変化です。
現代の日本においては、企業の持つ情報やシステムといったデジタル資産の価値が上がり続けており、それと比例してサイバー攻撃を受けた際の被害規模が増加しています。

また、攻撃を受けた際のレピュテーションリスクも顕在化したことにより、経営層がサイバーセキュリティを経営における重点強化事項であると認識しました。

その結果、サイバーセキュリティ対策への予算投下・専門組織の設立・人員強化が適切に行われるようになり、採用積極化(=人材ニーズ)に繋がったという流れです。

では、具体的にどのような要因が経営層の意識に変化を与えたのか、企業を取り巻く社会的要求、社会情勢の変化を見てみましょう。

  • 世界各国でサイバー攻撃が増加し、企業の社会的責任として安全に情報および各種システムを扱うことが求められるようになった(全世界マクロ動向)
  • サイバー攻撃を受け、顧客や株主に対し不利益(情報漏洩やシステム障害、それに伴う企業価値の毀損など)を生じさせた際、事前に十分な対策を講じていたか説明責任を問われるようになった
  • グローバルな経済活動を行うにあたって、欧州サイバーレジリエンス法やカリフォルニア州法(CCPA)、中国データ3法など、世界各国の法令や規制に対応する必要が出てきた
  • サイバー攻撃を受け攻撃者に金銭を支払った場合、回復が保証されないばかりか、反社会的/反自由主義的勢力への利益供与という側面で非難を浴び、企業の信用失墜(レピュテーションリスク)に繋がる恐れがある
  • 水平分業体制で常に進化を続けるサイバー攻撃に対し、従来のセキュリティ対策/リスクマネジメントシステムでは対応できなくなり、テクノロジーを活用した網羅的な対策が必要となった

こうした時代の変化に対し、従来の情報システム部門・リスクマネジメント部門だけで対応することは難しいのが実状です。
有事においてはルールを守る組織(既存組織)ではなく、より能動的にデジタル資産の防御を行える組織の必要性が高まってくるという流れですね。

部門機能と求められる人材像

NIST CSF2.0を参照すると、一般的にサイバーセキュリティ部門は以下の6つの観点を網羅するよう構成されています。

NIST CSF2.0

統治(Govern)、識別(Identify)、防御(Protect)、検知(Detect)、 対応(Respond)、復旧 (Recover)

この6つの観点すべてに長けた人物は稀有なため、多くの企業では要求されるスキルや経験の視点で、部門内を3つ程度の組織に分けているケースが多くみられます。部門内における代表的な組織区分と主幹機能をできるだけ噛み砕いて分かりやすく記載してみます。


戦略・統括担当組織(統治・識別)

全社のサイバーセキュリティ戦略の立案やポリシー策定、リスク管理、各種法令や規制への対応を行う組織。ドキュメントの作成や各部門各組織と連携したサイバーセキュリティ文化の醸成、子会社やサプライチェーンへの統制など、統括機能を担う。その他、重要なデジタル資産の管理(特定)、リスクアセスメントを行う。

技術担当組織(検知・識別・防御)

各領域の施策を支える技術的対策の選定、実装を担う組織。高度なサイバー攻撃が一般化する中、不正・侵入の検知やID管理、各種端末やネットワークの保護など、課題に対応する外部ソリューションを選定し、設計、導入、管理を担う。

運用・インシデント対応担当組織(検知・対応・復旧)

SOCを活用しシステムやネットワークを常時監視し、システムの安定稼働を支える組織。インシデント対応方針の立案や体制の構築から、CSIRTとして事後対応(対応窓口、原因究明、復旧対応)までを担う。


※業種・業態によっては、グローバルセキュリティや製品セキュリティ、OTセキュリティなどセキュリティ部門や各事業部門内に各種専門組織を有している企業もありますが、長くなってしまうので今回は割愛します。

こうした組織体において、課長級以上の管理職層には、一つ以上の領域専門性とマネジメント(外部ベンダーマネジメント含む)能力、他事業部との連携が可能なコミュニケーション能力が求められます。

また、部長級となると、さらに複数領域を網羅的に管掌する専門性および視点が必要となります。個別最適ではなく、全体最適を図る能力が必要です。

さらに執行役員級(CISO)には、部門内から上がってきた各種施策への意思決定、経営会議でのセキュリティ関連予算の確保、社外への説明責任が求められます。

このように、上位役職になるにつれ全社視点を持ち、責任を取れる人材のニーズが高まってきます。

採用レイヤー

当社への依頼を分析してみると、サイバーセキュリティ系案件における入社時の職位は下記の通りでした。

役員級(CISO):12%
部長級:41%
課長級:41%
スペシャリスト職/リーダークラス:6%

※見やすいように小数点以下は四捨五入しています。

多くの企業では、採用背景で前述した時代の変化に合わせ、既に形式上はCISOを設置しています。しかし、多くは管理本部長との兼務やCIOもしくはリスクマネジメントの責任者としてのスキルセットのみを有する人材が配置されており、サイバーセキュリティの専門家ではないという状況です。

こうした現任の担当役員(CIO/CISO)からするとサイバーセキュリティ領域のスペシャリティを持ち各種施策を推進できる人材は、喉から手が出るほど欲しいという状況になっています。

また、サイバーセキュリティ部門の業務は自部門だけで完結するわけではありません。経営陣や他部門に適切なレポーティングを行い、協力体制を築く必要があります。大きな組織体だとここが最も難しいですね。。。

こうした部門の垣根を超えた高レベルの折衝・交渉・調整スキルは一般的に管理職以上でないと得られないため、必然的に管理職以上に採用ニーズが集中しているものだと考えられます。

報酬レンジ

過去3年間分のデータを分析したところ、サイバーセキュリティエンジニアの報酬は約20~30%程度増加していることが分かりました。
旺盛な需要に対し、まだまだ人材の供給が追い付いていないため、今後も一定の水準で増加していくと思われます。

採用決定時の報酬レンジについては、下記の通りです。
分かりやすいように年収換算(賞与含む)し、参考として中央値も付記しています。

〇雇用契約(正社員)
課長級:1,100万円~1,350万円(中央値:1,250万円)
部長級:1,500万円~1,800万円(中央値:1,650万円)
執行役員級(CISO):1,800万円~3,000万円(中央値:2,200万円)
顧問・アドバイザー:500万円~800万円(週1~2日程度)

※見やすいように中央値は100万円単位まで数値を丸めています。

同レイヤー内での報酬幅は業務内容や業務負荷ではなく、所属する業界・企業・マネジメント対象の規模と高い相関関係を示しています。ポイントとして覚えておいてください。

いかがでしたでしょうか。
昔はセキュリティ部門といえば、問題があったら矢面に立ち非難を浴び、平時は「なぜこんなにお金がかかるのか」と経営に文句を言われる非常に報われない組織でした。

しかし、重要性が世間に認知され、経営の意識が変わったことで一気に需要が拡大しましたね。

今後も更なる需要拡大が予測されるので、興味のある方はキャリアチェンジを視野に入れてみても良いかもしれません。

次回は第3位のポジションを深掘ってみます!お楽しみに。

Profile
代表取締役社長/President
向井 綾汰

2015年、SFJに入社し、製造、IT、インフラ、通信等、幅広い業界のリサーチ、コンサルティングに携わる。2019年よりITユニットのヘッドとして、役員・CxO・PM/PdM等、幅広いレイヤーのIT/DX人材獲得案件を主導。2021年にSFJ NEXT設立を主導しゼネラルマネージャーとして事業を牽引。2024年より代表取締役社長就任。
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