IT/DX人材の採用ニーズ~ITサービス提供企業編(前編)~

前回のユーザー企業編に引き続き、今回は2024年度に依頼・問い合わせのあったITサービス提供企業(SIer、ITコンサル、自社プロダクト開発企業など)のIT/DX人材ニーズをまとめてみました。
ここでは、顧客課題に対しテクノロジーを主としたソリューション(ITサービス・自社ITプロダクト)を提供している企業をITサービス提供会社と定義しています。
まとめてみると、ユーザー企業側とは異なる傾向が見えますので、背景事情含めて考察してみましょう。
ITサービス提供企業のIT/DX人材ニーズ
昨年度の当社顧客を区分すると、ITサービス提供企業の割合は全体の約48%(ポジション数ベース)となりました。※見やすくするために、以下%は全て小数点以下を四捨五入しています。
さらにこれらのITサービス提供企業を売上規模で区分すると下記のような結果となります。
大手企業(売上高1,000億円以上):23%
中堅企業(売上高100億円~1,000億円未満):37%
中小・ベンチャー企業(売上高100億円未満):40%
※ユーザー企業編では、売上高3,000億円以上を大手企業と区分しましたが、業界の歴史に鑑みてITサービス提供企業は売上高1,000億円以上の企業を大手としております。

ITサービス提供企業は、ユーザー企業と比較するとまだまだ若い産業であるため、売上高1,000億円を超える企業の絶対数が少なく、結果として中堅~中小・ベンチャーの顧客比率が高くなっています。また、ITサービス提供企業といってもビジネスモデルが異なる複数の集団が存在し、対象企業の範囲が広くなっています。
そこで、このITサービス提供企業をSIerやITコンサル(総合系含む)などのITを用いた顧客支援を行う①支援型企業(ITサービス提供企業全体の30%)と、自社でITプロダクトやWebサービスの開発を行う②自社プロダクト開発型企業(同70%)にビジネスモデル別で二分し、さらに詳細な分析をしてみました。
①支援型企業(SIer・ITコンサル・SES・受託開発企業)
この企業群は、自社の技術力や専門人材を活用し、顧客の課題解決に向けてITコンサルティングやシステムの開発、導入支援を行う企業群です。
いわゆるクライアントワークと呼ばれるビジネスモデルであり、2025年4月に投稿したユーザー企業が主な顧客となります。
代表例としては、NTTデータや富士通のようなSIerやアクセンチュア、ベイカレントのようなITコンサル企業が挙げられます。
この属性の弊社顧客を企業規模で分けると下記の比率となりました。
大手企業(売上高1,000億円以上):53%
中堅企業(売上高100億円~1,000億円未満):28%
中小・ベンチャー企業(売上高100億円未満):19%

全体と比較し大手企業からのニーズが多いこと(23%⇒53%)が伺えます。
この背景には、ビジネスモデルと働き方改革の影響により企業規模問わず支援型企業全体の採用ニーズが総じて高く、結果としてヘッドハンティング特有の性質が強く反映されていることが考えられます。
Ⅰ.ビジネスモデル
支援型企業は大半が労働集約型のビジネスモデルを採っており、顧客の要求を満たすために必要な人的工数を見積り、その工数に応じた報酬を受け取っています。つまり、提供価値の源泉は抱えているリソース(=人材)であり、ユーザー企業からの依頼が増えるほど、採用需要が高まる企業群であると言えます。
この構造は企業規模に関わらず不変であるため、昨今のDXトレンドを鑑みると区分全体で採用需要が旺盛なのは納得でしょう。
特に、プロジェクトの責任者となれるミドルマネジメント層の数により受注できる案件数(≒年間売上高)が大きく変動するため、若手社員よりもミドルマネジメント層のニーズが高まっている傾向があります。
Ⅱ.働き方改革
昨今の働き方改革により、社会全体で過度な残業が規制され若手社員の稼働が限定的になりました。一方、ユーザー企業からの要求水準は変わらないため、支援型企業は社員一人当たりの労働時間を減らしながら契約工数分の価値提供を行わなくてはなりません。
その結果、裁量労働制を適用されており、提供するサービス品質に責任を持つミドルマネジメント層に負担が掛かる構造が形成されています。
ミドルマネジメント層のミッションとして、プロジェクト全体のコントロールや顧客対応に加え、若手社員のプレイヤー業務の肩代わりも付加されたイメージですね。
このように、支援型企業は働き方改革の影響を強く受けており、対応できるスキル・経験を持つミドルマネジメント層は年々市場価値が高まっています。各社もこの層の離脱を防ぐために待遇を引き上げると同時に負荷の分散、企業規模拡大に向け採用を積極化しています。
Ⅲ.ヘッドハンティング特有の性質
では次に、改めてヘッドハンティングの性質を整理してみましょう。
ヘッドハンティングは有効な採用手法ではあるものの決して万能ではなく、一般の採用手法と比較し、明確なProsとConsがあります。一例としては下記の通りです。
(Pros)
- 即戦力人材の採用が可能
- 転職市場外(潜在層)へのアプローチが可能
(Cons)
- 契約時に候補者発掘費用(着手金)がかかる
- 一般的な人材紹介と比較し採用にかかる総費用が高額
このような性質から、ヘッドハンティングファームへの依頼・問い合わせは即戦力人材を採用するためにコストをかけられる企業からのものが中心となります。
つまり、ヘッドハンティングの利用には旺盛な採用ニーズだけでなく、コストが高く、契約時に着手金を払う採用手法を選択できる資本力も必要ということですね。
前述した通り、支援型企業はビジネスモデルと社会環境の変化から、企業規模問わずミドルマネジメント層を求めています。その結果、資本力で優位な企業ほど当社の顧客になりやすいという傾向が反映され、大手企業の顧客割合が高くなっているものと考えられます。
想定よりもボリューミーになってしまったので、本記事は前編・中編・後編の3部構成でお届けします。
中編では、ITサービス提供企業のうち、自社プロダクト開発型企業を取り上げます。
お楽しみに!

向井 綾汰
2015年、SFJに入社し、製造、IT、インフラ、通信等、幅広い業界のリサーチ、コンサルティングに携わる。2019年よりITユニットのヘッドとして、役員・CxO・PM/PdM等、幅広いレイヤーのIT/DX人材獲得案件を主導。2021年にSFJ NEXT設立を主導しゼネラルマネージャーとして事業を牽引。2024年より代表取締役社長就任。
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