【IT/DX人材の採用ニーズ~ITサービス提供企業編】第2位:PM/PdM/EM

ITサービス提供企業編

IT/DX人材の採用ニーズ~ITサービス提供企業編~第2位にはPM/PdM/EMのIT系ミドルマネジメント職がランクインしました。

※本記事において、PMとはProject Manager、PdMとはProduct Manager、EMとはEngineering Managerを指します。

これら3つのポジションは、大別するとPMはプロジェクトを、PdMプロダクトを、EMはエンジニアをマネジメントするように、それぞれ求められる役割が異なるものの、いずれも提供するサービスやプロダクトの品質を一定の水準に保つために設置されている、いわば中間管理職的ポジションという共通項があります。ここでは、これらを一緒に並べることで昨年を含む近年のITミドルマネジメント層のニーズが寧ろ詳らかになるため、敢えてそれぞれの差異を踏まえつつ、一括りにさせていただきました。

まずはこれら3ポジションのそれぞれの大まかな違いを整理してみましょう。

PMPdMEM
主として必要
とされる企業区分
支援型自社プロダクト開発型支援型
自社プロダクト開発型
マネジメント対象プロジェクト
(品質・進捗・予算)
プロダクト
(開発・仕様・P/L)
エンジニア
(採用・育成・評価)
1社に必要な人数やや多いやや少ないやや多い
エンジニア経験が
求められる割合
約90%の企業で必要約50%の企業で必要約99%の企業で必要

意外と違いが見えてきましたね。次にそれぞれについて具体的に見ていきましょう。

PM(Project Manager)

同ポジションは一般的に、SIerやITコンサルをはじめとした支援型企業でニーズがあります

※一部、自社プロダクトを持っている企業でも、受託開発事業や自社プロダクトとのAPI連携などでニーズがある場合もあります。

業務内容としては、顧客から依頼されたシステム開発プロジェクトの進捗管理要件定義予算管理各種書類作成などが挙げられます。その他に、コードレビューをはじめとした技術要素を求める企業もあれば、テクニカルセールスや顧客とのリレーション構築などの営業要素を求める企業もあるなど、同じPMのポジションでも求められる要素は企業によって大きく変わります。

基本的に企業の抱えるPMの人数が多ければ多いほど開発プロジェクトを受けられるため、受注しきれないほどリードを抱える企業ではできるだけ多くのPMを採用したいと考える傾向があります。

バックグラウンドとしては、複数人のエンジニアが関わる開発プロジェクトの一連の工程を熟知している必要があるため、エンジニア経験を求める企業が大多数です。

このポジションでは一般的に、下記変動要素によって提示年収に大きな差がつきます。

  • 大規模プロジェクトのマネジメント経験
  • 複数のプロジェクトの同時マネジメント経験
  • 炎上プロジェクトの鎮静化経験
  • ドメイン知識(深さ/幅) など

また、近年は年収や業務範囲の違いなどにより、SIerから総合コンサルティングファームへの転職を希望する人が増えております。

以上を踏まえて、採用決定時の報酬レンジは下記の通りです。分かりやすいように年収換算(賞与含む)し、参考として中央値も付記しています。

報酬レンジ(PM)

上級PM:1,500万円-1,800万円(中央値:1,650万円)
※上記全ての要素を満たす

中級PM:1,200万円-1,500万円(中央値:1,300万円)
※中規模プロジェクトの進捗管理・要件定義・予算管理・各種書類作成+上記いくつかの要件を満たす

PM:900万円-1,200万円(中央値:1,100万円)
※小規模プロジェクトの進捗管理・要件定義・予算管理・各種書類作成ができる

見やすいように中央値は50万円単位まで数値を丸めています。

基本的にPMはラインを持たないですが、企業によっては一定以上のPM経験者はラインマネジメントを兼ねていることがあり、その経験が追加された場合、+α(役職ランクに準ずる)の報酬提示となるイメージです。

PdM(Product Manager)

同ポジションは一般的に、SaaSやWebプラットフォームなど、自社でITプロダクトやWebサービスを企画・開発し、提供する自社プロダクト開発型企業でニーズがあります

※一部、受託開発をメインに行っている企業でも、自社プロダクトを持っていればニーズがある場合もあります。

業務内容としては、自社プロダクトの仕様を決定する他、ローンチを意識した開発指揮プロダクト自体のP/L管理中期的な成長戦略策定などが挙げられます。その他に、仕様決定後の技術選定をはじめとした技術要素を強く求める企業もあれば、他のプロダクトとのシナジー構築や販売戦略の立案などのビジネス要素を求める企業もあるなど、同じPdMのポジションでも求められる要素は企業によって大きく変わります。また、0→1で新規プロダクトを立ち上げる場合と、1→10ないし10→100で既存のプロダクトをエンハンスする場合では、必要なスキルも異なってきます。

※市場開拓や販売戦略などのビジネス要素を重視してPMM(Product Marketing Manager)というポジションを設置する場合もあり、その場合、PdMの役割は企画・開発寄りに限定されます。

基本的にPdMの人数は当該企業の抱えているプロダクト(ローンチ前のものも含む)の数の近似値となるため、多数のプロダクトを抱えているごく一部の企業を除いて、1社に必要なPdMの人数はそう多くありません。

バックグラウンドとしては、プロダクトのフィジビリティを理解する観点から、約半数の企業でエンジニア経験を求めますが、プロダクトの成長戦略を立てて戦略に沿って実行することの方がプライオリティが高いため、エンジニア経験を求めない企業も増えてきています。

このポジションでは一般的に、下記変動要素に応じて年収に大きく差がつきます。

  • プロダクトを成長させた実績(1→10→100)
  • 新規プロダクトの立ち上げ経験(0→1)
  • 複数プロダクトのマネジメント経験
  • 開発プロジェクトのマネジメント経験
  • ドメイン知識(深さ/幅) など

以上を踏まえて、採用決定時の報酬レンジは下記の通りです。分かりやすいように年収換算(賞与含む)し、参考として中央値も付記しています。

報酬レンジ(PdM)

上級PdM:1,500万円-2,000万円(中央値:1,800万円)
※事業の中心となるプロジェクトを担当。上記全ての要素を満たす(≒事業責任者)

中級PdM:1,200万円-1,500万円(中央値:1,400万円)
※仕様決定・開発指揮・P/L管理+上記いくつかを満たす

PdM:1,000万円-1,200万円(中央値:1,050万円)
※仕様決定・開発指揮・P/L管理ができる

見やすいように中央値は50万円単位まで数値を丸めています。

PdMはプロダクトに関わる企画・開発・営業に関わることから、上位層が事業責任者を務めることが多く、上級職の年収の上がり幅が他と比較して大きくなっています。基本的にPdMはPM同様ラインを持ちませんが、事業責任者になった場合はラインマネジメントを行う場合もあります。

EM(Engineering Manager)

同ポジションは原則として、一定数のエンジニアを抱える企業においてニーズがあり、支援型企業自社プロダクト開発型企業の双方で必要とされることの多いポジションです。

業務内容としては、エンジニア採用メンバー育成エンジニア評価などが挙げられます。その他に、プロジェクトへのメンバーアサイン複数のプロジェクトの状況に合わせ人員の配置などのPMやPMO的な能力を求める企業もあれば、コーディングレビューをはじめとした技術要素を求める企業もあるなど、同じEMのポジションでも求められる要素は企業に応じて大きく変わります。また、エンジニアだけでなく、場合によってはデザイナーなど開発職全般のピープルマネジメントを兼任することもあります。

近年は支援型/自社プロダクト開発型双方において、プロダクトやサービスを軸として区切られる事業部と別の組織にエンジニアだけを組み込む傾向があります。こうした組織形態を取る企業では、エンジニアの評価や育成をはじめとしたピープルマネジメントを行える中間管理職的なニーズが高まっています。

基本的に必要なEMの人数は自社のエンジニアの数に比例します。大体、1名のEMに対し、7~10名のエンジニアという小組織が一般的です。したがって、1社におけるEMの必要数は抱えているエンジニアが多いほど、多くなります。

バックグラウンドとしては、エンジニアの評価や教育などを行うため、直近まで自身でコーディングやアーキテクチャ設計を行っている必要はありませんが、エンジニアとしての経験は必須と言えます。

このように、このポジションでは現時点でのエンジニアスキルより、下記要素に応じて年収に大きく差がつきます。

  • 対人能力の高さ(コミュニケーション能力)
  • エンジニアの特性理解
  • マネジメント人数の多さ(管理チーム数)
  • エンジニア採用や育成、評価のノウハウ

以上を踏まえて、採用決定時の報酬レンジは下記の通りです。分かりやすいように年収換算(賞与含む)し、参考として中央値も付記しています。

報酬レンジ(EM)

上級EM:1,300万円-1,600万円(中央値:1,400万円)
※大規模開発組織内で組織文化の醸成を行い複数チームのマネジメント、エンジニアの採用・育成・評価を豊富に経験

中級EM:1,100万円-1,300万円(中央値:1,200万円)
※中規模開発組織(15名以上)でエンジニアの採用・育成・評価を行った経験

EM:800万円-1,100万円(中央値:1,000万円)
※小規模開発組織(~10名)でエンジニアの採用・育成・評価を行った経験

見やすいように中央値は50万円単位まで数値を丸めています。

基本的にEMはエンジニアのピープルマネジメントを行うためラインを持ちますが、前述したPM/PdMと比較し報酬は比較的抑えられています。これはPM/PdMが直接的なプロフィットを生む職種である一方、EMはエンジニアのマネジメント(管理)に特化しており、コストセンター側として認識されてしまっていることが要因ではないかと推察しています。

いかがでしたでしょうか。

今回は提供するサービスやプロダクトの品質を一定の水準に保つための重要な中間管理職的ポジションであるPM、PdM、EMの3つを同時にご紹介させていただきましたが、2026年1月現在(本記事執筆時点)もまだまだこれらのポジションの採用に関するご相談は多いです。

企業の求める要件はそれぞれ異なることが多いため、採用を検討する場合に本記事が要件を整理するための一助になれば幸いです。

また、これから本ポジションを目指される方、あるいは既に本ポジションに就いていてさらなるキャリアアップを目指す方は、是非本記事をご参考にしてみてください。

次回はいよいよITサービス提供企業編の第3位です!

お楽しみに!

Profile
代表取締役社長/President
向井 綾汰

2015年、SFJに入社し、製造、IT、インフラ、通信等、幅広い業界のリサーチ、コンサルティングに携わる。2019年よりITユニットのヘッドとして、役員・CxO・PM/PdM等、幅広いレイヤーのIT/DX人材獲得案件を主導。2021年にSFJ NEXT設立を主導しゼネラルマネージャーとして事業を牽引。2024年より代表取締役社長就任。
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