IT/DX人材ニーズ~ユーザー企業編~第1位:CIO(Chief Information Officer)

2025年4月2日IT/DX人材の採用ニーズ

IT/DX人材ニーズ2024~ユーザー企業編~栄えある第1位は、CIOポジションでした。

このポジションは、企業のIT活用方針およびDX(デジタルトランスフォーメーション)推進方針を全社視点から検討し、組織を率いて具現化する立場です

CDO(Chief Digital Officer)を別に定義し、守りと攻めで役割を分けている企業もあれば、CIOが両面の役割を担っている企業もあります。
実態としては後者が多いかもしれませんね。

2ポジションを別々に設置している企業の場合、CIOが社内システム環境の整備や全社規定の策定、システム化によるコスト削減といった守りの側面、CDOがテクノロジーを活用した新規事業開発や先端技術の業務適用など、事業や業務に変革を与える攻めの側面をミッションとしているケースが多いです。

では、なぜCIOポジションの採用ニーズが高まっているのか分析してみましょう。

採用背景

近年の加速度的なテクノロジーの進展により、IT活用・DX推進は企業経営において無視できないテーマとなっています。

一方、旧来の日本企業は自社内にIT領域の開発組織が存在しておらず、システム開発にあたっては、そのほとんどを外部に委託する構造を有していました。

その結果、いざCIOを登用しようとしても社内にIT領域の広範な技術専門性を持ち、なおかつ経営目線での戦略策定・施策推進をできる人材が存在しないという現象が起きています。

この社内に適性を持つ人材がいないという現象が背景となり、CIOの外部登用を積極化する企業が増えている形です。

もう少し詳細に分析してみましょう。

旧来のユーザー企業における情報システム部門は、大半が十分なテクノロジーへの理解を有しておらず、外部ベンダーへのビジネス要件の伝達および進捗管理、システム活用における社内でのヘルプデスクといった役割を担ってきました。

先述した通り、ユーザー企業内に十分な開発経験を付与できる組織体が存在せず、直接テクノロジーに触れる経験が無かった(IT組織のサステナビリティが欠如していた)ため、ある程度仕方ないかもしれません。

しかし、今日においては先端テクノロジーを用いた業務効率化、仕組化ニーズが圧倒的に高まっています。つまり、ユーザー企業内でも深く広くテクノロジーを理解した人材を適切に配置し、ITをどのように活用できるか、どの技術を使うべきかを自社ビジネス目線で検討することが求められるようになりました。

これにより、ユーザー企業においてテクノロジーバックボーンを有した人材(IT/DX人材)の採用ニーズが高まってきたという流れです。

とはいえ、専門性を持つIT/DX人材を採用したからと言って全社規模でのIT活用、DX推進は簡単には進みません。

テクノロジーの業務適用が企業における全体最適であると理解しながらも、日本企業は伝統的に現場事業部門の発言権が大きいため、個別最適の観点から全社横断で推進することが難しいという状況です。

そこで、広範な技術専門性を持ち、各事業部門のトップや経営層との対等な交渉が可能なエグゼクティブクラスの人材(CIO)を招聘したいというニーズが高まっているようですね。

役割と求める人材像

CIOの最も重要な役割は、社内に全社最適なIT活用環境を整備し活用を推進することです。整備・推進し、社内外に対しIT活用・DX推進の指針を示さなくてはいけません。

そのために、まずは社内でITガバナンスの確立とITマネジメント体制の構築を両立させる必要があります。

ITガバナンスとは、組織内で効率的かつ持続的・安定的なIT活用を進めるための標準化を指し、ITマネジメントとは、社内のITリソース(人材・各種システム・費用)の最適化を実現することを指します。

これがとても難しく、多くの企業で苦戦しています。。。

また、上記を推進するにあたって基幹系システム・情報系システム・セキュリティ・インフラ(オンプレ・クラウド)など、各種専門組織のマネジメントを行うに足りる技術専門性を有する必要があります。

この前提を踏まえ、企業側はCIOポジションの登用に際して下記のようなスキル・経験を求めるようになりました。

  • 経営方針を踏まえて、社内のITに関する意思決定や統制の仕組みの標準化を進められる
  • ITリソース(ヒト・モノ・カネ)全体の可視化を行い、経営環境に合わせて常に最適化を図ることができる
  • 広範な技術専門性とEA(エンタープライズ・アーキテクチャ)の視点を持ち、全社のあるべきシステム構想を描くことができる
  • 企業のおかれているフェーズを理解し、IT活用およびDX推進の具体的なロードマップを描ける
  • 社内(グループ内)に点在するITエンジニアおよびIT関連組織をまとめ上げ、全社最適な組織設計および組織マネジメントが行える
  • AIやIoTなど先端テクノロジーについて感度が高く、必要に応じて自社業務への適用を構想できる
  • 求心力を持ち、社外からも優秀な人材を惹きつけることができる
  • 各事業部の担当役員とリレーションを築き、現場の協力を得られる

もちろん全てを一人で遂行することはできません。
各領域のスペシャリティを持つ役職者(部長級・課長級)を配置・登用し、全社単位でこうした動きを実現することが要求されます。

採用レイヤー

同ポジションの入社時の職位と契約形態は以下の通りでした。

執行役員(委任契約):46%
本部長~執行役員(雇用契約・正社員):38%
顧問・取締役(委任契約):8%
部長(雇用契約・正社員):8%

※見やすいように少数点以下は四捨五入しています。

日系企業では、社外取締役を除くとまだまだエグゼクティブ(取締役)の中途採用が少なく、執行役員まで広げても、多くは社内昇格で役員を選出しています。

しかし、CIOは経営の一員として全社的なミッションを担う立場であることから、一定以上の役職を付与する必要があるポジションです。

そこで、契約形態を柔軟にしたり、まずは顧問や社外取締役として参画し、一定期間を経てから役員登用など、特殊なルートでの受け入れ体制を整える企業が増えています。

また、外部の優秀なCIOやその候補者は報酬面で既存の評価・報酬制度に組み込むことが難しいことも、委任契約の執行役員として招聘する例が増えている要因となります。

報酬レンジ

このレイヤーでは先述した通り、一般的な無期雇用契約(正社員)だけでなく、委任契約を結ぶケースが多く見られます。この場合、伝統的な年功序列型の給与体系を採用している会社でも、採用時の段階でスキルや経験、市場価値に見合った報酬を提示することが可能です。

一般的に、この契約形態が変数となり報酬幅が定まる傾向にあるので、今回は契約形態毎の報酬レンジをまとめました。
分かりやすいように年収換算(賞与含む)してありますのでご覧ください。

〇雇用契約(正社員)
部長級(CIO候補):1,600万円~2,000万円(中央値:1,750万円)
本部長級(CIO):2,000万円~2,400万円(中央値:2,100万円)
執行役員級(CIO):2,000万円~3,500万円(中央値:2,500万円)
〇委任契約
執行役員級(CIO):2,400万円~5,000万円(中央値:3,200万円)
顧問(月3~4日):500万円~1,000万円(中央値:800万円)

※見やすいように中央値は100万円単位まで数値を丸めています。

報酬水準は高いものの、雇用契約では第一線で活躍しているトップラインのIT/DX人材を連れてくるには、やや心もとないですね。
外資IT企業やコンサルティングファームの役員クラス、著名なCIOが移籍する場合、ほぼ委任契約だと言えます。

いかがでしたでしょうか。
CIOポジションのニーズが高いことからも、どこの企業でもテクノロジーを活用し、全社横断的にIT活用・DX推進を行いたいと考えていることが読み取れます。

机上の空論にならないよう、テクノロジーバックボーンと広範な技術専門性を持ち、個社にカスタマイズしたDX戦略を描きながら周囲を巻き込んで推進できる人材は非常に稀有であると言えますね。キャリアのゴールとしてCIOを目指している方は、意識してみてください。

次回は第2位の発表です。どんなポジションがランクインするでしょうか?お楽しみに!

Profile
代表取締役社長/President
向井 綾汰

2015年、SFJに入社し、製造、IT、インフラ、通信等、幅広い業界のリサーチ、コンサルティングに携わる。2019年よりITユニットのヘッドとして、役員・CxO・PM/PdM等、幅広いレイヤーのIT/DX人材獲得案件を主導。2021年にSFJ NEXT設立を主導しゼネラルマネージャーとして事業を牽引。2024年より代表取締役社長就任。
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