【経営層を考える】第2回 人材要件とは

2025年4月17日経営層を考える

皆さん、こんにちは。

このところ毎日のように驚くようなニュースが飛び込んできますね。テレビのニュース放映時間に占める某国の大統領(返り咲いた方)の映像の割合がかなり多くなっているように感じますが、国内に目を向けても一度は破談になった大企業同士のM&A話が海外企業も交えた混沌とした様相を見せてきたり、本当に日々の変化が激しい時代を実感します。そんなVUCAの時代だからこそ企業は経営層に適切な人材を配置することが重要だというお話が前回の趣旨でした。今回は「じゃあ、どんな人が適切なの?」について掘り下げてみようと思います。

まずは企業経営に期待されることから考えてみましょう。いろいろな表現はあると思いますが、今日のところは「企業を成功に導く」こととして捉えることにします。ではここで言う「成功」とは何でしょう? この問いは「誰」にとっての成功なのかを考えないと答えが定まりません。

昔の近江商人はなかなかうまいことを言ったものですが、「三方良し」というのが「誰」に対する答えになると私は思います。ご存じの通り、「三方」とは売り手、買い手、世間です。

  • 売り手|従業員、株主、取引先
  • 買い手|お客様
  • 世間|社会

売り手の「成功」は端的に言うと自社のビジネスがうまく行くことでしょう。それによって従業員は給料が上がり、株主は株価が上がり配当が増え、取引先も売り上げが伸びるようなポジティブなサイクルが回るのは売り手にとってみると明らかに「成功」です。もう少し具体的に書くと、例えば短期的には年度業績目標の達成あたりが「成功」のゴールになったりします。

ただし企業の難しいところは短距離走じゃないということです。今年度は業績目標を達成したけど、その過程で従業員が過酷な勤務で疲弊してキー人材がどんどん抜けていったなんていう状態は「成功」とは言えません。「その人の後にはぺんぺん草も生えない」みたいなリーダーのもとで短距離を走ったらみんな倒れちゃいますよね。

中長期的な「成功」は、例えば主力事業が成長(売上、利益、シェアなど)するとか、新規ビジネスが立ち上がって軌道に乗るとか、企業によってケースバイケースですが、共通する要素は組織、そしてそれを構成する人材が継続して力をつけていくことでしょう。こうしてみると売り手の「成功」だけ考えてもリーダーに託されることはたくさんあって、ここまで触れた事柄だけでも短期業績にコミットし、将来に向けた布石(成長事業への先行投資判断、事業ポートフォリオの再整理や必要に応じてカーブアウトの実施などなど)も打ちながら、従業員がモチベートされて力を発揮し成長する環境づくりもしなきゃなりません。

買い手の「成功」はいわゆる顧客価値の実現なので、売り手の「成功」の必要条件になっているはずですが、世間の「成功」は昨今ではESG経営、SDGs、DE&I(雲行きの怪しい国もあるようですが)など、求められることが明確に共有されているので、それらを進めていくのもリーダーに託されているということです。

いろんなことを考えなきゃならないですよね?

少しだけ気が楽なのは、経営層はチームで機能するので上記すべてを実現できる一人のスーパーマンを探す必要はなく、様々な力を持った人たちで企業の成功を実現できるチームを構成すればよいという点です。アベンジャーズとかガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとかみたいな補完し合えるメンバーを揃えたチームでしょうか。それを考えるためには、どんなことが得意なのかという特性面を表現してあげなければなりません。もちろんそれだけなくそもそも企業人としてどうなの?とか、経営層にふさわしいスキルを持っているの?とかも評価の軸になります。

前置きが長くなりましたが、弊社が考える経営チームを構成する人たちの要件、言い換えると評価の軸は①基礎要件、②経営スキル、③行動特性の3つです。

一つ目の基礎要件は、人として信頼できて企業人として胸を張れる人物であるかどうかを評価する軸です。誠実であること、仕事に情熱を持っていること、やり遂げる自信を持っていることなどが挙げられます。

二つ目の経営スキルは、アサインされたポジションの職務を執り行う上で必要な能力を持った人物かどうかを評価する軸です。ここではアメリカの経済学者ロバート・L・カッツが提唱し今日でも広く活用されているカッツモデルをベースにして「概念化能力」、「対人関係能力」、「業務遂行能力」の3つについて多様な視点から、マネジメントの階層に応じた要求水準と比較していきます。

三つ目の行動特性は、どんなポジションに就くと力を発揮するのかを判定する軸です。先の二つの軸にこの軸を加えることで補完し合ってチームとして機能する経営陣の構成を考えることができます。

企業を「成功」に導く経営層にふさわしい人物をどう評価するか、その軸についての概要と共に書いてみましたが、いかがでしたか?

次回はこれらの軸を弊社ではどのような方法で評価するのかについて書きたいと思います。

Profile
Executive Senior Director
村田 すなお

北海道大学卒業後、デジタルテクノロジーを軸にして国内大手精密機器メーカー2社に勤務。新規拠点立ち上げのためのカナダ赴任や事業加速のためのM&A推進などの経験を経て、2014年以降は執行役員として経営全般に関わる。キャリア後半ではCIOとしてグローバルなIT推進全般を遂行、業務システム、ITインフラ、サイバーセキュリティ、AI、DXなどの戦略立案、企画、設計、運用などを指揮。
お問い合わせはこちら

2025年4月17日経営層を考える